2022年05月05日

現物株投資で最も重要な保有比率管理2


 以前、総資産に占める現物株の保有比率管理を徹底す
れば理論上は資産が増加していくが、現実には売買する
数量は非常に小さくなるため、ほぼバイアンドホールド
する投資家向けの運用になってしまうことを説明した。
 そのままの運用でも、現物株による配当、労働などで
得た収入の口座への入金で保有比率が下がるため、購入
できる数量を多少増やすことはできるが、もう少し資産
の増加を加速させる方法を考える。

■底値圏買いへの挑戦と時間分散買い

 前回説明した、総資産に占める現物株の保有比率管理
で具体的にやるべきことは、

1)総資産(証券口座での残高)を把握する
2)現物株の保有比率を決定する(50%のとき売買額が最大化)
3)決定した保有比率になるように現物株を購入する
4)いかなる価格変動でもその保有比率を厳守する

となるが、初めて証券口座を開設したからといって2)で
たとえば50%と決めて3)を1回でいきなり実施する必要は
ないのである。確かに、仮に株式相場の天井圏でこれを
実施したとしても、4)を実施すれば理論上は問題ない。
 どうせ問題ないのであれば、資産の増加を有利にする
ためにも、株式相場の底値圏での購入を試してみるので
ある。また、最初から底値圏を当てられるとは限らない
ことまで事前に想定し、複数回に分けて購入していく。

■短期、中期売買

 たとえば、4回に分けて購入し、2回目以降の購入時に
数量を増やすことを考え、50%を1:2:3:4に分けるという
具合に計画を立てる。1回目の購入額は50%のさらに1/10
の5%ということになる。
 1回目から底値圏を当て、上昇トレンドに乗って含み
益となれば売却する。半年または1年で得られる配当と、
購入から売却までの期間で得られる売買差益との比較で
あり、後者のほうが効率がよい場合が多いためである。

 1回目で底値圏を当てられず、さらに株価が下がった
場合は2回目の購入を実施する。そこからの対応は1回目
と同様であり、上がれば売却、下がれば3回目の購入の
実施となる。
 つまり、当初の保有比率50%という目標に到達しなく
ても、その手前の短期、中期売買で完結できてしまうの
であれば、延々とそれを繰り返して利益を上げるほうが
効率がよい。

■保有比率は疑似的かつ一時的な目標

 上記を繰り返していく中で、やがて売却し切れず残る
株も発生してくる。いわゆる塩漬け株であるが、たとえ
それで目標の保有比率を達成したとしても、4)さえ実施
すれば、何度も言うように理論上は問題ないのである。
 そして、株式相場の低迷、塩漬け株による配当、口座
への入金で購入余地ができるため、塩漬け株といえども
やがては売却できる日が来るのである。そうすれば再び
購入余地が復活するため、3)へ移行すればよい。

 とは言え、塩漬け株だけで保有比率を構成していくの
はどこか心もとない。そこで、過去に配当や売買差益で
利益確定した総額、つまり現在の総資産と元本(入金額)
の差額の部分を保有比率の構成に組み込むのである。
 その額の範囲内に限って購入すれば、仮に上場廃止や
倒産になったとしても利益確定総額はマイナスにはなら
ないし、含み損を気にする必要もない。ここの構成には
有利子負債のない企業の株やREIT ETFを使うとよい。

■まとめ

・ 総資産に占める現物株の保有比率管理は、1)〜4)を
 そのまま実行すれば理論上は問題ないが、売買機会が
 ほとんど訪れないため、非常に時間がかかる。

・ 3)は必ずしも1回でいきなり実行する必要はない。
 どうせならここで底値圏買いへの挑戦と時間分散買い
 を実行してみる。

・ 上記がうまくいくなら含み益になった株は売却する。
 うまくいく限り、3)の目標はいったん置いといて延々
 と繰り返せばよい。

・ 上記がいずれうまくいかなかった場合に通常ペース
 である3)→4)へ移行すればよい。4)の状態で停滞して
 も、いずれ再び3)へ戻ることは可能である。

 これまでの内容を見てわかるとおり、いまだファンダ
メンタルやテクニカルについて触れず、計画を立てたと
いうだけである。それでも、儲けるための仕組みは知恵
を絞って考えるというだけで作成できるものである。
 ただし、この計画もまだ説明していない部分に関して
落とし穴がある。その穴をふさぎ、これを問題なく実行
するためにファンダメンタルやテクニカルといった手法
が必要となってくるのである。

 次回はファンダメンタルやテクニカルへ入る前に証券
会社の売買システムについて説明する予定である。
posted by iceage at 17:45| Comment(0) | 投資理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする