個別株投資では、ファンダメンタル重視かテクニカル
重視かという二元論になりがちであるが、それらよりも
総資産に占める現物株の保有比率管理が最も重要である
というのが管理者の持論である。
また、ファンダメンタルとテクニカルのどちらか一方
ということもなく両方とも同レベルで重要視し、大前提
としての現物株の保有比率管理をより有効活用するため
の手段として用いるものであると考えている。
■やるべきことは単純
総資産に占める現物株の保有比率管理で具体的にやる
べきことは、
1)総資産(証券口座での残高)を把握する
2)現物株の保有比率を決定する
3)決定した保有比率になるように現物株を購入する
4)いかなる価格変動でもその保有比率を厳守する
だけである。これだけで資産は増加していく。
株価が上がれば保有比率も上がるので、決定した保有
比率に合わせるように株を売却することになり、下がれ
ばその逆である。また、保有比率を厳守すれば、過剰に
購入することも売却することもないわけである。
■現実の運用
理論上は、総資産に占める現物株の保有比率を決定し
てそれを維持管理するだけで資産が増加していくことは
わかるが、現実の運用がどうなるかはシミュレーション
する必要がある。
保有比率が下がったときに元の保有比率に戻すための
株の購入額は、下記の式で表すことができる。なぜ下記
の式になるのかはここでは省略する。
変化前総資産 * 保有比率 * (1-保有比率) * 変化後減少率
ここで、
変化前総資産 = 1,000,000円
変化後減少率 = 0.1(=10%)
とし、保有比率*(1-保有比率)から、購入額が最大値と
なるように
保有比率 = 0.5(=50%)
として計算すると、25,000円が購入額となる。
500,000円分の株が10%の含み損を抱えても、追加購入
できるのが25,000円しかないのだから、ほぼバイアンド
ホールドしかしないような長期投資家向けの運用となる
結果となった。
また、25,000円では個別株は低位株、ボロ株しか購入
できず、あとは単元数の小さいETFを購入するしかない。
変化前総資産を10倍の10,000,000円に設定してようやく
ふつうの株を最小単元購入できるような状態である。
← 現金1,000,000円 →
|----------------------------------------|
↓保有比率50%
← 株500,000円 →← 現金500,000円 →
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↓10%の含み損
← 株450,000円 → ← 現金500,000円 →
|++++++++++++++++++ --------------------|
↓25,000円分の株購入
← 株475,000円 → ← 現金475,000円 →
|+++++++++++++++++++ -------------------|
■対策
現実は、総資産に占める現物株の保有比率を決定して
それを維持管理するだけでは、よほど資産を持っている
長期投資家でなければ厳しい結果となった。そうでない
投資家は対策をとる必要がある。
それは、現金の入金を増やすしかない。現物株による
配当だけでなく、労働などで得た収入の口座への入金、
決定した保有比率以外の現金で実施した短期投資、中期
投資による売買差益である。
また、初めて証券口座を開設して上記の3)を実施する
場合、0%から決定した保有比率にいきなり合わせるわけ
ではない。そこでファンダメンタルもテクニカルも見て
少しでも安いとき、安いところで購入するのである。
次回は3)を実施するまでの過程について説明する予定
である。